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111_迷走

12時、入木のバス停を通過。
朝方に通り過ぎたドライブスルーで、
自販機のパンを食べただけだったが、
二日酔いもあって、お腹はすいてない。

それよりも。
頭の中がぐちゃぐちゃだった。
気持ちの整理がつくまで、
誰にも会いたくなかった。
いや、誰にも会えない。

会ってどういう顔しよう?
どう振る舞えばいい?
わからない。わからないよ。

誰にも会わなくて済むように。
誰にも追い越されないように。
何かから逃げるようにして、
朝一番に宿を出て。
後ろを気にしながら歩き続けたのに。
なのに、健脚さんには追いつかれてしまった。

案ずるより産むは易い。
実際に会ってみればどうってことなかった。
でも、ちょっと、ぎくしゃくしてる。
ちゃんと健脚さんを見れない。

健脚さんも雰囲気を察してか、
昨日のことにはふれてこない。
それが、他人に気遣わせてしまったと気付き、
気遣わせた自分をどうしようもなく嫌になる。
「今日はロッジ尾崎に泊まります」と健脚さん。
それを聞き、あたしは別の宿にしようと決める。

夕方、ロッジ尾崎を通り過ぎるとき、
顔見知りの遍路が「今日はここや」と入っていく。
「あたしはもう少し先までいきますから」
そう言って別れたが──。

海は夕暮れに朱く染まっている。
次第に赤く熟れ、鈍くくすみ、
約2キロ先の夫婦岩が見えてくる頃には、
すっかり闇一色となっていた。

ここから3キロ先に民宿がある。
あと1時間位でつく。
そろそろ連絡しないと。
携帯を取り出し、宿に電話する。
しかし、呼び出し音に出る気配はなし。
「まさか冬場でおやすみ!?」

冬場の遍路のメリットは、宿屋が空いていること。
だから着く30分前に連絡すれば宿が取れる。
反面、冬場は休業している宿屋も多い。
近辺の宿屋を何軒か電話したがどこも出ない。
「あたし一体なにしてるんだろう」
19時40分、ロッジ尾崎に再び到着。



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スーパーで文旦をみかけた。
ふと四国を思い出した。
歩きながら食べた文旦はすごくおいしかった。
また食べたいな。
by mitisagasi | 2008-01-15 01:48 | 高知篇

生きるとは、幸せとは、豊かさとは何か?当時22歳女、一人旅。通し打ち四国108ヶ所歩き遍路の記録です。


by たまむし